「体幹を鍛えた方がいいですか?」
運動教室でも保護者の方からよく聞かれていた質問です。
「腹筋をした方がいいですか?」
「プランクはやらせた方がいいですか?」
確かに体幹は大切です。
しかし、私自身は幼児や小学校低学年の子どもに対して、「体幹トレーニング」を最優先には勧めていません。
結論から言うと、子どもの体幹は”遊びの中で育てる”のが自然で効果的だと考えています。
この考え方は、私の臨床経験だけではなく、多くの資料とも一致しています。
幼児期は「筋トレ」より「いろいろな動き」が重要
文部科学省の幼児期運動指針をもとに作成された京都府教育委員会のガイドブックでは、
幼児期は毎日60分以上体を動かし、多様な動きを経験することが重要とされています。[1]
また、人間の基本動作は36種類あり、それらを遊びの中でたくさん経験することが、その後の運動能力の土台になると紹介されています。[1]
つまり、
- 走る
- 跳ぶ
- 登る
- くぐる
- 支える
- 転がる
こうした遊び自体が、結果として体幹も育てていることが考えられます。
神経の発達は幼児期に急速に進む
同資料では、スキャモンの発育曲線も紹介されています。
神経系は5歳頃までに約80%まで発達するとされ、この時期に多様な動きを経験することが重要とされています。[1]
つまり、
「腹筋100回」
より
「鬼ごっこ」
「平均台」
「四つ這い」
「ジャンプ」
こうした様々な動きの方が、発達段階には合っています。
「体幹だけ」を鍛えるという考え方には注意
日本学術会議の提言でも、
子どもには
- 多様な動きを経験すること
- 運動・睡眠・食事をセットで考えること
- 遊びを主体にすること
が重要とされています。[2]
さらに、
指導者が無理にやらせるのではなく、
子どもが「やりたい」「楽しい」
と思える環境づくりが大切であると提言されています。[2]
私はこの考え方にとても共感しています。
私が臨床現場感じること
一方で、スポーツでケガ(野球肘など)をした子どもたちを見ていると、
腕や足だけで動こうとしてしまい、全身をうまく連動させられていないケースに出会うことがあります。詳しく評価すると、体幹だけの問題ではなく、股関節や胸郭の硬さ、体の使い方の癖が影響していることも少なくありません。
だからこそ私は、「体幹を鍛えること」を目的にするのではなく、
幼い頃からさまざまな遊びを通して全身を協調して動かす経験を積むことが、結果として体幹を含めた体の使い方を育てると考えています。
「姿勢を良くする=腹筋」ではない
東京都教育委員会の研究では、
体幹を鍛える取り組みによって姿勢の改善はみられましたが、
実践内容は腹筋運動だけではありませんでした。[3]
- ケンケン遊び
- 鬼ごっこ
- 授業前後の姿勢づくり
- 毎日の体操
など、
学校生活全体で身体活動を増やす内容でした。[3]
つまり、
「姿勢改善=腹筋」
ではなく、
日常生活全体で身体を使うことが重要ということです。
今日から家庭でできる3つの遊び
① 四つ這い競争
肩・体幹・股関節をたくさん使います。
② ケンケン
片脚支持と体幹の安定性が育ちます。
③ 平均台ごっこ
床にテープを貼るだけでも十分です。
バランス能力だけでなく、姿勢を保つ力も育ちます。
まとめ
「体幹を鍛えなきゃ。」
そう考える必要はありません。
幼児期に最も大切なのは、
遊びの中で様々な動きを経験することです。
結果として、
体幹も、
バランスも、
姿勢も、
運動能力も育っていきます。
理学療法士としても、子育て中の父親としても、
私は「鍛える」より「たくさん遊ぶ」ことをおすすめします。
参考文献
- 京都府教育委員会. 運動遊びガイドブック(平成29年). 幼児期は毎日60分以上の身体活動、多様な基本動作の経験、遊びを通した運動習慣の形成を推奨。
- 日本学術会議. 子どもを元気にする運動・スポーツの適正実施のための基本指針(2011). 多様な動き、遊び主体の運動、運動・睡眠・食事を含めたライフスタイル改善を提言。
- 東京都教職員研修センター. 子供の体幹を鍛える研究―正しい姿勢のもたらす教育的効果の検証―(2014). 学校生活に取り入れやすい身体活動を中心とした実践プログラムで姿勢改善を検証。

